為替相場とシェールガス革命

シェールガス国際エネルギー機関(IEA)は2012年11月に発表した「世界エネルギー見通し」で、米国はやがて石油をほぼ自給できるようになると予測しています。その理由は世にいう「シェールガス革命」です。従来は採掘困難だったシェールガスが、新しい技術の開発で利用可能になったことを指しますが、米国はシェールガスを豊富に埋蔵しているのです。IEAの予測では、米国は2017年にはサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国となり、2035年に上記にいたるとしています。

   この話し、為替相場とも大いに関係があります。米国の経常収支は大幅な赤字ですが、その64%を石油収支が占めています。それがほぼなくなるというのです。そうするとどうなるか。ドルでの支払いが減るわけですから、市場で流通するドルの量が減り、需給関係が引き締まります。これはドルの上昇要因です。2035年というとかなり将来の話しではありますが、長期的には構造的なドル高要因があるということは覚えておくべきでしょう。

   一方、円の長期的な需給関係を見ると、前のページで見たように経常黒字の減少傾向という大きな円安要因があります。この二つを考えあわせると、5年、10年という単位で見た円ドル相場は、円安ドル高トレンドとなる可能性が高いといえるでしょう。

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