シェールガス革命

   シェール(Shale)とは岩石の一種である頁岩(けつがん)のことです。粘土が固まってできた水成岩なので、板状でやわらかく、はがれやすいという特質を持っています。このシェールのすき間に閉じ込められているガスやオイルのことを、シェールガス、シェールオイルと言います(以下まとめてシェールガス)。

   シェールガスの存在自体はかなり以前から知られていました。しかし数千メートルの地下にあるうえ、肉眼では見えないほどの微小なすき間に存在するため、数年前までは採掘不可能とされていました。ところが、米国のベンチャー企業が開発した水平堀りなどの技術によって、取り出すことができるようになったのです。しかもかなり安価に。石油の採掘コストを1とすると、風力が2、太陽光が3.5と言われるのに対して、シェールガスは0.6程度。石油より安いのです。しかも埋蔵量は200年分以上あるという推計もあります。

  • 2015年1月8日付日経新聞の記事によると、シェールオイルの生産コストは66ドル。北海ブレントの新規開発案件は70ドル、西アフリカ沖の鉱区は76ドルとのこと。

シェールガス革命の影響

   シェールガス革命はまさにエネルギー資源にとって革命的な出来事なのです。世界のシェールガスのうち4割は米国にあると言われ、しかも採掘に必要な特許は全て米国が押さえています。今後、シェールガス革命が世界のエネルギーパワーのバランスに影響を与えることは必至です。

   また、米国の貿易赤字が改善することを通じて、長期的な為替相場にも大きな影響が見込まれます。エネルギー関連の金融商品であるMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の市場も拡大必至と言えるでしょう。なお、特許は米国が押さえていても、その実行に必要となる特殊技術の多くは日本企業に依存していることを付記しておきます。

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