だまし

   テクニカル分析に関する解説記事を読んでいると、「ここはだましとなった」とか「このような相場ではだましが出やすい」といった表現を見かけることがあります。だましとは、為替相場がテクニカル分析の定石とは異なる動きをすることです。

   例えば、移動平均ゴールデンクロスは一般的に買いのサインと言われますが、買ったとたんに下降トレンドへ転換してしまうこともあります。また、RSIが30%や20%を下回ると売られすぎと言われますが、そこからさらに一段安となることもあります。こういうケースがだましに当てはまります。

だましが出やすい場合

   ではどんな場合にだましが出やすいのでしょうか。それは、テクニカル分析のパラメータがその時の相場にフィットしていない時です。例えば、RSIのパタメータである日数は一般的に14日が使用されます。しかしこれは発案者であるワイルダー氏がいろいろ試した結果、一番当る日数だったというだけで、合理的な根拠はありません。ですから、相場のスケールが想定と大きく異なるとだましが出るのです。移動平均のクロスにしても、10日と30日はだましになったけれども、10日と50日ならぴったりだったということが起こります。

だまし対策

   テクニカル分析を用いる時は、設定日数などのパラメータが相場のスケールや勢いにマッチしていることが重要です。しかし最適なパラメータは、後日の検証によって明らかとなるものです。残念ながら取引を行っている最中には分かりません。ですから相場は難しいわけですが、対策はあります。それは、自分が採用しているパラメータとか普段の相場つきと、現在の相場のスケールや勢いを比較する意識を持つことです。市場に強いサプライズを与える材料が出て、相場が楽観や悲観に大きく傾いているとき、買われ過ぎや売られ過ぎのシグナルは当てにならないと考えます。そうすることで、ある程度だましは回避することができます。

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