4)仮想通貨による決済

投資先としての側面が注目されている仮想通貨ですが、その将来性は決済手段としての側面にあります。そこで仮想通貨による決済の現状と将来を解説します。

電子マネー

現在日本の法令では、仮想通貨は電子マネーに分類されています。電子マネーは紙幣などの形をとらず、カードやネットに金額が記録された疑似マネーのことで、以下のようなものがあります。

  • オフライン型…プリペイドカードに予め入金しておいて使用するタイプ。スイカ、パスモ、エディーなど。日本初のプリペイドカードであるテレホンカードは使い切りだったが、その後はチャージして繰り返し使えるものが主流となった。現在では鉄道系や流通系などを含めて広く普及している。
  • オンライン型…クレジットカードのように決済時にホストコンピュータとつなげて決済を行う。予め入金しておく必要がないのが利点だが、大型のインフラ投資が必要なのであまり普及していない。
  • ネット通貨型…専用のカードはなく、ネット上に残高が記録されたタイプ。コンビニなどで予め両替しておき、ネットショッピングやオンラインゲームの決済などで利用できる。ウェブマネーやビットキャッシュなど。

仮想通貨による決済

仮想通貨は前述したとおり、法律上は電子マネーの一種なのですが、決済手段としてはまだまだ普及していません。しかし今後は利用が広がってくるでしょう。

現状でまず考えられるのは、個人間の取引で利用する場合。物品と引き換えに仮想通貨を相手方に送金すれば取引完了です。次に店舗で使用する場合。仮想通貨による決済に対応している店舗は増えてきていますが、まだまだ限られています。店舗側で仮想通貨決済に対応する体制を整える必要があるからです。

仮想通貨とデビットカード

しかし一方で、仮想通貨とデビットカードの連携が進んでいます。デビットカードは銀行の預金口座と連動したカードで、これで支払うとリアルタイムで預金口座から代金が差し引かれる仕組みになっています。またもし十分な残高がないときは利用を拒否されてしまいます(ただしシステム上の問題から例外は発生します)。

もちろん、仮想通貨を銀行口座に預金することはできません。そこでワレットを預金口座とみなしたサービスが始まっています。銀行口座に残高がなくても、ワレットに残高があれば決済に使用できるデビットカードが既に登場しているのです。提供しているのはイギリスのWirexという会社。世界中で展開しており、既に相当数の利用者がいます。日本でも展開するための準備が進められているようです。

なお、このカードで決済すると仮想通貨の値上がり益に課税されないのではないかという噂もありますが、税制上は使用した段階で課税対象となります。ただ、税当局が補足できるかどうかは別ですが。詳しくはこちら→仮想通貨投資の税金

仮想通貨とクレジットカード

クレジットカードと仮想通貨を直接連動させることは今のところ難しそうです。クレジットカードの場合、代金が実際に引き落とされるのは後日です。それも普通は1か月単位でまとめて。その間は利用者に対する信用供与(掛け売り)が発生しますから、事前の審査が欠かせません。

一方、デビットカードでは信用供与が発生しません。カードも審査を経ないで発行されます。こうした背景から仮想通貨とデビットカードの連係が可能でしたが、クレジットカードとダイレクトに連携する可能性は今のところ低そうです。

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