7)仮想通貨投資の税金

雑所得・総合課税

仮想通貨の取引で得た利益ももちろん課税されますが、課税対象となるのは転売して損益が確定した時点です。計算上の損益(いわゆる含み損益)である間はまだ対象となりません。では仮想通貨を円にかえず、仮想通貨のままで物品の購入にあてた場合はどうでしょうか。その場合も同様に課税対象となります。

仮想通貨取引で得た利益は基本的に雑所得に分類され、総合課税により税率が計算されます。したがって税率が所得水準で変わる塁審課税です。税金としては所得税(国税)と住民性(地方税)がかかってきます。

FXとの比較

FXで得た売買損益も雑所得であることは同じですが、課税方式が異なり、申告分離課税が適用されます。税率は20%(所得税15%、住民税5%)の固定です。※その他に復興特別所得税が若干(所得税額の2.1%)かかります。

FXの税制は税率の他に損益通算や損失の繰越控除を受けられるメリットがあります。つまた、FXで利益が発生しても指数先物取引などで損失が発生した場合は相殺できます。また相殺しきれない場合は3年間繰り越すことができます。

FXも初めのころは総合課税でした。業界の地道な働きかけの結果、申告分離課税となったのです。仮想通貨ビジネスも産業として整理されていけば、税制も変わる可能性があります。ただ今のところは株式やFXに比べると、投資家にとっては不利な税制となっています。

支払調書

FXでは、業者に支払調書の提出が義務付けられています。これは自社顧客が行った1年間の取引について、業者が税務署に報告するというルールです。このため、個人であろうと法人であろうと、FXで得た損益は当局に全て捕捉されています。利益があったのに確定申告を怠ると、最寄りの税務署から「おたずね」が送られてくることになります。

しかし仮想通貨の取引については、支払調書の提出はまだ義務付けられていません。ようやく法整備が始まったばかりなので、税制面の対応はまだこれからという状況なのです。

譲渡所得となる場合

仮想通貨取引で得た利益は雑所得ですが、場合によっては譲渡所得とみなされる場合もあります。譲渡所得であれば、50万円の基礎控除があります。雑所得には基礎控除はなく、直接かかった経費しか差し引くことはできません。

取引所で取引を行う場合は、営利目的で継続的な取引を行う場合とみなされて、譲渡所得には該当しません。しかし、何年も保有して転売し、その後も取引を行わないようなケースであれば譲渡所得として申告すれば認められる可能性があります。

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