CFDの概要

   CFDは Contract For Difference の頭文字で、差金決済という意味です。これは、株式取引のように現物の受け渡しを伴わない帳簿上だけの取引ということです。そのため、一定の担保(取引証拠金)を差し入れれば取引可能であり、低いコストで手持ち資金の何倍もの取引を行うことができます。取引対象は非常に広範囲で、現物株式、株価指数、債券(金利)、コモディティー(原油、貴金属、穀物など)などが含まれます。

『株の取引は経験があるんだけど、同じ感覚で取引できるのかしら?』
『信用取引のご経験があれば戸惑いはないでしょう。レバレッジ取引とカラ売りができる点は同じですから。現物株だけの経験でも、比較的短期で売買されていたならあまり違和感はないと思います。初めはレバレッジを低くおさえて取引を始めればよいのです。』
『レバレッジとは何ですか?』
『てこの効果とも言いますが、手持ち資金の十倍二十倍といった大きな取引ができることです。レバレッジが高いほど、ハイリスク・ハイリターンな取引になります。ただし、レバレッジは自分でコントロールすることができます。』
『企業の成長や業績に対して、長期スタンスで投資していたという場合はどうですか?』
『CFDはその特徴から中短期の投機的な取引が主流ですが、長期投資にも使えます。配当を受けることができますので、レバレッジを効かせればそれだけ配当額も大きくなります。それから、長期投資で保有している株のヘッジとしてCFDは使えますよ。』
『ヘッジというのはなんですか?』
『長期的に見れば値上がりが期待できる株でも、短期的には下げる場面があるますよね。そういうとき、同じ銘柄をCFDで売り建てることで、値下がりのリスクを一時的に回避できるわけです。』
『なるほど…。あと、海外の市場や商品相場には明るくないんだけど、大丈夫ですか?』
『知らない分野にあえて手を出す必要はありません。ご自身の得意な分野でやればよいのです。もちろん、徐々に勉強して運用の幅を広げていくのは大賛成です。一つの分野に縛られないのがCFDの大きなメリットですから。』

CFD取引の流れ

   では、CFDの仕組みについて理解するため、現物株取引と比較しながら、詳しく取引の流れを見てみましょう。説明が分かりやすいように、オンライン取引でトヨタ株を売買することを想定して話しを進めます。

1.新規注文

   現物株の場合は、まず証券会社の取引システムにログインして、取引所で売買されているトヨタ株の売値と買値を確認しますね。仮に指値注文を出したとすると、その注文はすぐさま取引所につながれます。その後、相場が指定した価格になれば約定し、4日後には株と代金の交換が行われて、決済が完了します。その結果、あなたはトヨタ株を保有することになり、配当や株主優待を受ける権利も得られます。

   次にCFDですが、取扱い業者の取引システムにログインして、同じようにトヨタ株の価格を確認します。ただし、これは取引所の価格そのものではありません。業者が、取引所の価格を参照して提示している価格です。基本的には同じと考えてよいのですが、『そのもの』ではないということです。業者があなたに対して価格を提示するために参照するものを原資産といいます。トヨタ株であれば、それは日本国内の証券取引で取引されている価格ということになります。

   さて、CFDでも同じように指値注文を出したとしましょう。原資産の相場が指定した価格になれば、CFDの注文も成立します。注文が成立すると、あなたは○○円でトヨタ株を買い建てた状態となり、業者は売り建てた状態となります。建てたままの未決済取引を建玉(または単に玉とかポジション)と言います。

  • 上記の例は買い注文の場合ですが、CFDは売りから入ることもできますから、いきなり売り建玉を持つということもできます。

2.決済注文

   あなたと業者は、決済が行われるまでの間、ずっとお互いに建玉を保有した状態が続きます。現物株のように、4日後に決済が行われるのではなく、未決済の状態が続くわけです。そして、チャンスが来れば反対売買によって決済を行い、この状態を解消することができます。CFDでは対当する買いと売りのペアで初めて決済が成立するわけです。

   決済が行われると、買値と売値の差額を業者との間で受け渡しして、この取引を完了します。反対売買というのは、同じ銘柄・数量の買い玉には売り注文を、売り玉には買い注文をぶつけて、建て玉を相殺することです。そして、買った時の価格よりも高く売れれば儲かることになりますし、安く売れば損が発生するわけです。これが<ahref="../yougo/w_s_040.html" title="差金決済方式">差金決済方式と呼ばれるものです。

CFDの仕組みと特徴

   以下ではCFDの仕組みや特徴を分解してもう少し詳しくご説明します。

1.相場の売買差益をねらう取引です

   CFDは、基本的には金利や配当などの収益(インカムゲイン)を狙うよりも、リスクを取って相場の売買差益(キャピタルゲイン)を志向する商品です。元本の保証はなく、利益を得る可能性と同様に損失を被る可能性もあります。基本的にハイリスク・ハイリターンな取引ですから、相場商品を取引した経験のない方がいきなりCFDを始めるのは少し無理があります。もし始めるとしても、レバレッジは1倍に抑えることをお勧めします。

2.取引の対象は多種多様です

   CFDの取引対象は、現物株、株価指数、債券、コモディティーと多岐にわたります。株価指数は総合指数に加えて業種別の指数も取引できます。債券は金利相場を取引するということ。コモディティーは商品相場のことですが、商品という言葉は意味が広く紛らわしいので、このサイトではコモディティーという言葉を使っています。原油などのエネルギー、非鉄金属や貴金属、穀物などの農産物が含まれます。また、CFDでは日本だけでなく欧米の市場も対象となります。なお、CFDは通貨(為替相場)も対象になるのですが、日本ではFX(為替証拠金取引)という呼称で、CFDよりも先に普及しました。最近では、どちらも扱っている業者が少しずつ増えてきています。

  • CFDの対象となる原資産は業者によって扱い品目が異なります。
  • くりっく365と呼ばれる取引所FXはCFDとは異なります。

3.相対(あいたい)取引です

   CFDは相対取引です。これは、業者が取引の相手方となり、顧客と1対1で取引を行う方式です。それゆえ、商品設計の自由度が高く、いろいろな商品を扱うことができるわけです。これに対して、通常の株取引などは取引所取引と呼ばれます。注文は全て取引所につながれ、そこで売り注文と買い注文が出会って約定します。業者(証券会社)は顧客の注文を受けるだけで、取引の当事者にはなりません。CFDでは、顧客の取引の相手方は業者になるわけです。従来、こうした相対取引はプロの世界に限定されていました。個人投資家は、ルールの厳格な取引所でやってください、ということだったんですね。それが、世界的な流れとして当局の規制緩和が進み、個人でも自己責任のもとにこうした取引をやってもよろしい、ということに変わってきたわけです。

4.証拠金取引です

   CFDは、担保として総取引代金の一部(1%〜10%程度)を業者に預ければ売買を行うことができます。これを証拠金取引とか保証金取引と言います。いわゆるレバレッジを効かせて、投下資金の何倍・何十倍もの取引を行うことが可能です(もちろん1倍でもOKです)。また、実際に取引対象となる株や通貨の受け渡しを行うことはなく、取引を終わらせる方法は差金決済のみとなります。買いからでも売りからでも取引が始められ、相場の下落場面で利益を上げることが可能です。

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