PBR(株価純資産倍率)

PBRとは

   PBR(Price Book-value Ratio)は株価純資産倍率ともいい、株価を一株当たりの純資産で割ったものです。純資産というのは、その企業が持っている総資産(現金、不動産、設備、原料品など)から負債(借入金など)を引いたもの。つまり企業が解散したときの総価値です。そのため、理屈上はPBRが1倍となる株価が株価の下限であると考えられます。とは言え、PBRが1倍になったからといって企業が解散するわけではないので、株式市場が低迷すると、PBR1倍を割る銘柄も多数出現します。

   なお、為替相場の場合は、2つの通貨の相対的価値であることから、FXではPBRのような絶対的な価格の基準は存在しません。

PBR1倍割れでも放置される理由

   2018年10月現在、日経平均株価が27年ぶりの高値を付けているにもかかわらず、東証1部銘柄の4割が1倍割れの状態です。その中には日本を代表する企業も多く、特に目立つのが銀行です。

   こうした状況は2008年のリーマン・ショック後に顕著になっています。なぜでしょうか。理由の1つが、世界経済の低成長化と低金利です。世界経済が拡大する局面では割安株が注目されて買われますが、低成長の中では少しでも成長が見込める銘柄が求められます。一般的に海外投資家は、成長が続くと判断すれば、割高であっても投資する傾向があります。低金利で資金を調達できるようになったことが、こうした戦略を支えています。

   また、投資家が短期志向になっていることも理由の一つと考えられます。割安株はその原因が修正されるまではなかなか上昇しません。割安株への投資は、長い間がまんする資金力が必要になります。結果として、成長株は割高のまま上がり続け、割安株は放置される状態が続くのです。

   さらに加えると、多くの投資家は、日本企業が保有する現預金は額面通りの価値を持っていないと考えているのかもしれません。つまり、経営者に信頼がおけないので、現金を使った投資が無駄遣いになるリスクを考慮しているということです。

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