ストキャスティック

ストキャスティックとは

   ストキャスティックの正式名称はストキャスティック・オシレ一夕ー(Stochastic Oscillator)といい ます。その名のとおりオシレーター系テクニカル分析で、指数は0から100までの値を往来します。2本のラインを組み合わせることを特徴としており、基本的に次のような使い方をします。

  • 指数の値そのもので売られ過ぎや買われ過ぎを判断
  • 2本のラインのクロスで売買のタイミングを判断

   ではストキャスティックの計算方法や使い方について詳しく見ていきましょう。なお、Stochasticという言葉の意味は「確率的な」ですが、ほかに「あてずっぽうの」といった意味もあります。

ストキャスティック

ストキャスティックの計算式

   ストキャスティックでは、動きの早いほうの線を%K(パーセントケイ)ライン、遅いほうを%D(パーセントディー)ラインと呼びます。頭に%がついているのは、数値が百分率として示されるからです。それぞれ次のような意味をもっています(以下%の表記は省略します)。

  • Kライン…本日の終値が、過去〇日間の最高値と最安値の間のどの位置にいるかを%で表したもの。もし本日の終値が最高値に等しいなら指数は100に、最安値なら0になります。
  • Dライン…Kラインの△目移動平均に相当します。

   具体的な計算方法は以下のとおりです。

  • Kライン = X ÷ Y × 100
    ・X=本日の終値−〇日間の最安値
    ・Y=〇日間の最高値−〇日間の最安値
  • Dライン = Xの△日間合計 ÷ Yの△日間合計

   パラメータに何日を用いるか決まったルールはありませんが、Kラインには5日や10日、Dラインには3日などがよく使われます。もちろん、日足だけでなく週足や月足にも応用できます。

ストキャスティックの見方

1.指数の値

   ストキャスティックの最も単純な見方は指数の値によって、売られ過ぎや買われ過ぎを判断することですが、一般的にはDラインを使用します。

  • 売られ過ぎのゾーン…30%以下(より慎重に判断する場合は20%以下)
  • 買われ過ぎのゾーン…70%以上(より慎重に判断する場合は80%以上)

2.クロス

  • Dラインが売られ過ぎのゾーンにあるとき、KラインがDラインを下から上に抜ける(ゴールデンクロス)
  • Dラインが買われ過ぎのゾーンにあるとき、KラインがDラインを上から下に抜ける(デッドクロス)

3.ダイバージェンス

   RSIと同じように、ストキャスティックでもダイバージェンスは注目のサインです。すなわち、

  • 為替相場が下降しているときにKライン・Dラインが先行して底打ちから上昇に転じているとき
  • 為替相場が上昇しているときにKライン・Dラインが先行して天井打ちから下降に転じているとき

   例えば、相場自体は下降トレンドにあるなかで、次の条件が満たされれば注目すべきサインです。

  • ストキャスティックは売られ過ぎのエリアにある
  • しかしストキャスティックの下値水準は切りあがっている
  • その中でゴールデンクロスが起こる

   もちろん、天井圏でこれとは逆の現象が起こった場合も注目です。ただし、このサインだけで判断を下すのは危険ですから、他のテクニカル分析やファンダメンタルズ分析とともにの総合的に判断することが肝要です。

スローストキャスティック

   ストキャスティックのバリエーションにスローストキャスティックがあります。これはラインの動きをよりスムーズにして、なるべく目障りな動きを除去しようとするものです。具体的には次のようにして求めます。

  • Kライン…本来のDラインを使用
  • Dライン…上記Kラインの△日移動平均(つまり本来のDラインをさらに移動平均化したもの)

   スローストキャスティックの使い方はストキャスティックと同じです。どちらを使うかという問題は、パラメータを何日に設定するかという問題と同じで、解はありません。相場のスケールやトレンドの強さで有用性が変わってくるからです。下図はストキャスティックとスローストキャスティックを並べてみたものです。比較してみてください。

スローストキャスティック

ストキャスティックの注意点

   ストキャスティックに限らず、オシレ一夕一系のテクニカル分析にはパラメータ(変数)があるので、これを設定しなければなりません。ストキャスティックの場合はKラインの日数です。一般的には5日や10日が利用されますが、それが最適なパラメータである保障はありません。相場は山と谷を繰り返します。これは真理であり、オシレ一夕一系分析の存在価値もそこにあるわけですが、それぞれの山と谷のスケールは千差万別です。パラメータとスケールがフィットしてこそストキャスティックは威力を発揮します。

   しかしこれが適切でないと、だましが多発します。特にトレンドが長く続く大相場となったとき、ストキャスティックを逆張りの指標として利用することは避けなければなりません。ですから、相場のスケールや局面(トレンドが発生しているかしていないか)の判断が結果を左右します。この点を十分に留意する必要があります。

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