対数チャート

対数チャートとは

   対数チャートとは、縦の目盛に対数目盛(Logarithmic Scale)を用いたチャートで、対数化チャート、ログチャートと呼ばれることもあります。対数目盛というのは、目盛の間隔を対数を使って調整したものですが、百聞は一見にしかずですので、まずは下のチャートを見比べてみましょう。

対数チャート

   1は通常のチャート、2はそれを対数目盛で表したものです。1のほうは値上がりするにつれて動きが荒くなりますが、2は全体に平準化されています。これは、目盛の切り方が違うからです。どりらも10円間隔なのですが、1は等間隔であるのに対して、2では上に行くにしたがって間隔が狭くなります。これが対数目盛の特徴です。

   対数チャートでは、値動きの比率が同じなら等間隔になるように目盛が切られているのです。例えば50円から60円に値上がりする場面では、値段は10円の上昇で、比率に直すと1.2倍です。同様に、100円から120円に値上がりする場面は20円と1.2倍です。値動きの絶対幅を表現する通常のチャートでは、後者のほうが見た目に2倍の動きになります。しかし比率から言うと同じなので、対数チャートでは見た目でも同じになります。

対数チャートのメリット

   為替相場の長期チャートでは、その期間の高値と安値の水準に大きな開きのある場合があります。例えば、米ドル/円の戦後から現在までの月足では、360円から80円割れの水準までをカバーすることになります。通常のチャートでは、相場が300円から10円の円高になった場合も、100円から10円の円高になった場合も、同じ値幅の動きになります。しかし、300円に対する10円は約3.3%の動きに過ぎませんが、100円に対する10円は10%の値動きに相当します。見た目は同じでも、実際の動きのインパクトという点ではかなり違います。対数チャートなら直観的にこれをつかむことができます。

   また対数チャートのもう一つのメリットとして、上図のように、トレンドラインを引くのに適しているということがあります。ラインの始点と終点で価格水準に大きな差があると、通常目盛では正しいトレンドラインを引くことができないのです。このようなことから、為替相場を週足や月足などで見る場合は、対数チャートを使うことをお勧めします。

   下の二つのチャートはいずれもドル/円の月足ですが、上段が通常のチャート、下段が対数チャートです。通常のチャートでは、左半分(1990年代まで)の値動きが大きく、右半分(1990年代以降)はおとなしい印象を受けますが、対数チャートで見ると、上昇局面・下降局面ごとの値動きにはそれほど大きな違いがないことが分かります。

ドル/円の長期チャート

ドル/円の長期対数チャート

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