先週は欧州通貨の軟調が目立ちましたね。フィッチ・レーティングスがギリシャ国債の格付けを下げたこと、S&Pがスペインの格付け見通しをネガティブに引き下げたこと、英国の財政赤字拡大懸念などがその理由でした。そんな中で当社が注目したのは、ユーロ/ドルのコミットメンツ・オブ・トレーダーズが4月28日以来の売り越しに転じたこと(ほんのちょっとですが)。もちろん、これをもってただちにユーロ/ドルが下降に転じたとは言えませんが、1.5ドル超は当面の天井圏となる可能性が高まってきたと思います。
先週発表された米経済指標は概ね予想を上回る強いものでした。注目のクリスマス商戦も案外悪くないかも、というムードが出はじめています。もともと期待されていないだけに、良いほうに転ぶとまちがいなくドルの支援材料になります。FFレートの早期引き上げ期待が高まりますから。ここしばらく、マーケットは利上げ期待の高まりと後退を繰り返してきましたが、もしクリスマス商戦が良い結果に終われば、来年前半の利上げ開始が市場のコンセンサスとなっていくはずです。
一方、ECBがFRBより先に利上げを開始する可能性は低いと考えられます。もともと欧州の景気循環は米国に半年ほど遅れる傾向がありますし、ユーロ高が続いていることもその傾向を後押しします。先に出口戦略に言及したのはECBのほうでしたが、実際の利上げはFRBが先行する可能性が高いのです。ただ、前回の雇用統計の直後にバーナンキ議長が「米国の景気には向かい風が吹いている」と発言したことで、米当局はドル安を望んでいるというムードが市場にはあります。それを変えるようなこと、つまり当局者の発言とかFOMCの議事録で何らかの示唆が出てくれば、本格的にトレンドは転換すると思います。
下図はドルインデックスの日足です。今年の春以降、ずっと上値抵抗戦となっていた50日移動平均線をクリアに抜けてきました。まだ100日移動平均線とか一目均衡表の雲とかは抜いていないのですが、テクニカル分析上の一つのサインではあります。
そんなこんなで、中長期的なストラテジーとして、ユーロ売りドル買いをお薦めします。ターゲットは1.5ドル。要注意事項としては米国の商業用不動産が下がり続けていることがあります。もし市場のテーマに浮上してくるようだと、ストラテジーを見直す必要が出てくるかもしれません。
次にオセアニア通貨ですが、先週は欧州通貨に比べると堅調でした。豪ドルは11月の雇用統計が予想以上に強かったので、2月か3月の再利上げが確実な情勢です。現在、豪州の政策金利は3.75%ですが、主要国との金利差はますます拡大することになります。また、ニュージーランドも先週のボラード中銀総裁の発言で、利上げ時期が早まるとの見方が浮上しています。このため、利上げの開始が遅くなりそうなユーロとオセアニア通貨の金利差は一段と広がるはず。下図はユーロ/豪ドルの月足(最終は先週末時点)ですが、長期的にはボックス相場(かなりワイドレンジですけど)となっていることが見て取れます。今年は一貫して下落基調を辿ってきていますが、上記の理由からこの流れはもう少し続くと見ています。そこで、これも中長期的なストラテジーとして、ユーロ売り豪ドル買いの方針をお薦めします。ターゲットは週明けの寄付き値。多少は戻る場面もあるでしょうが、2007年や2005年の安値水準である1.55付近までは下がることを想定しています。
最後に87.30円で売り持ちしているドル/円について。先週は建値付近まで下げたあと、ダウ平均の反発などでドルが持ち直しました。中長期的にはドル安との見方は変えていませんが、やはりクリスマス商戦が好調に進めば見方を変える必要が出てきます。ひとまずストップロスの水準を90.80円に引き下げます。
今週はここまでですが、来週は都合で休刊とさせていただきます。次回アップ予定は12月27日です。それでは。
