先週もドル安でしたね。円は揉みあいでしたが、ユーロやオセアニア通貨は年初来の高値を更新しました。そんな中で注目を集めたのが、米国の対外対内証券投資(Treasury International Caital System=TIC)。米国の財務省が毎月集計して翌々月の15日に発表しており、先週は7月分でした。速報性はないんですが、米国に入ってくる投資マネーと出て行く投資マネーの統計なので、市場関係者の注目度は高い指標です。
で、7月は予想以上に悪い975億ドルの赤字でした。外国人が米国の債券や株式を買った額よりも、米国人が外国の債券や株式を買った額のほうが大きかったわけです。それもかなりの赤字。昨年までなら普通は黒字でしたし、たまに赤字になっても大した額ではなかったのですが、今年はこれで1勝6敗。ドルにとってはちょっとまずい状況です。
米国という国は、貿易収支の大赤字を投資マネーの流入で補ってきた国です。その構造が崩れているのです。ご存知のように、米国は外国からどんどんモノを買ってドルで支払ってきましたから、それだけならドルは供給過剰になります。放っておけば常に下落圧力がかかります。でも一方で、外国の政府や金融機関は米国に投資してきました。国債を買うにしても株式を買うにしても、ドルが必要になります。その流れが、ドルの需給関係をなんとか保っていたのです。
しかし、今年になって投資マネーも出超に転換。1月・2月と大赤字になったあと、3月はやや黒字で、4~6月も赤字ながら小幅でした。それがここにきて再び拡大してきたのは、ちょっとばかし気になります。最近のドルの下落を見ると、きっと赤字傾向は続いているんでしょうね。
それから、TICのほかに金(ゴールド)が史上最高値を更新したことも話題になりました。金は商品(コモディティー)の一面と通貨の一面を併せ持っており、金が上昇しているということは、ドルへの信任が低下していることの裏返しと言えるからです。一方、金の上昇に比べて原油は頭が重い感じです。これは投資規制への警戒感があるからだと思われます。今年の春から話題になっている件ですが、10月頃にはCFTCがファンド経由の商品投資(特にエネルギーや食料)に対して何らかの規制策を打ち出すと予想されているのです。WTIの買いポジションの2~3割はファンド経由との見方もあり、規制が打ち出されるとWTIは急落するだろうと言うアナリストもいます。もしそうなった場合は、資源国通貨への影響が出るかもしれません。
さて、最後に為替相場に直接関係のある話題を一つ。これはあまり注目されていないと思いますが、先週、外資系のFX業者が一部でスイスフランの証拠金率を引き上げました。証拠金率を高めるといことは、ボラティリティーが高くなる可能性を見込んでいるわけです。なぜか。考えられる理由は、スイスの金融機関が抱えている不良債権という爆弾が表面化し、スイスに対する信用不安が起こるかもしれないということ。昨年アイスランドクローナが急落する前にもこういうことがありましたよね。憶えている方もいらっしゃるでしょう。杞憂かもしれませんが、証拠金率を引き上げたのは事実なので、一応注意はしておきたいですね。
では、具体的なストラテジーです。まず推奨していたユーロ/ポンドの買いですが、下図のようにターゲットの50日移動平均線まで届かず、結果としてボリンジャーバンドの1σで支えられて急反発となりました。もう少し積極的に行けばBINGO!でしたが、しかたありません。一旦このストラテジーは取り下げます。ただ、日柄的にはまだしばらく大勢上昇基調が続くと思いますので、基本は押し目待ちでいいと思います。代わりといってはナンですが、ポンド/円の売りを推奨します。過剰供給となっている通貨が売りターゲットになっている状況なので。下図は一目均衡表ですが、チャート的にも売り有利となっていますしね。具体的なターゲットは149円とします。
あと、やはり買い推奨しているユーロ/ドルですが、続伸となりました。基調が強いので、押し目のターゲットを日足ベースの一目均衡表で転換線に引き上げたいと思います(先週は基準線でした)。最後に買い持ちしているユーロ/スイスフランですが、相変わらず方向感のない揉みあいが続いていますね。引き続き保持で。
