前回はユーロ/ドル、スイスフラン/ドルの売りを推奨し、その理由や具体策は今回に持ち越していました。でもこれはちょっと失敗でした。想定していたのは短期ストラテジーとしての売りだったのですが、相場のほうが先に下げてしまい、足元では反発局面となっています。ただ、売り方針であることに変りはありませんので、ユーロに焦点をあててその理由を解説します。
ユーロ最大の問題は、統一された金融政策はあっても統一された財政政策がないことです。ECB(欧州中央銀行)が担うのは金利政策だけで、財政をコントロールするのは各国の政府であり、その財政基盤は国によって大きな差があります。ユーロ圏の中にはアイルランドのようにデフォルトの可能性が指摘される国も含まれており、ユーロの信頼性を低下させています。城内の景気は予想以上のスピードで悪化が続いていますが、まだまだ弱材料が出てくる可能性があります。
それといわゆる『裏庭』問題。裏庭とは中・東欧圏のことですが、この地域がピンチに陥っていることは新聞報道等でもご覧になっていると思います。これら地域のエマージング諸国は経済成長が期待されていた一方で、対外収支の不均衡、対外借入への依存、金融システムの脆弱性といった構造的な弱点も抱えていました。それが今回の金融危機で一気に表面化し、中・東欧圏の債券、株式、通貨は売り浴びせられる状況となったわけです。国そのものの格付けも悪化しています。2月25日にはウクライナが2段階引き下げされ、ラトビアはジャンク級のBB+に。エストニアとリトアニアも格下げの可能性が高まっています。ユーロ圏の銀行は中・東欧圏に多額の貸出を行っていますし両者は経済的なつながりも強いので、裏庭問題はユーロにとって頭痛の種ですが、まだまだ悪化するかもしれません。
ECBが追加利下げを行う可能性が高いことも弱材料です。先週、ECBは市場の予想通りに0.5%の利下げを行いました。しかし、日本、米国、スイス、イギリス、カナダはすでにゼロ付近まで金利を引き下げ、量的緩和へ軸足を移しています。これに対してECBはまだそこまで踏み込んでいません。為替相場と金利の連動性は平常時に比べて低下していますが、それでも無視できない要因です。
以上のような環境から、当社ではユーロについては一環して弱気の見通しを維持しており、中長期的には昨年10月の安値を下回ると予想しています。コミットメンツ・オブ・トレーダーズを見ても投機筋は売り玉を増やしていますしね。ただし、冒頭にも書いたように足元は反発局面にあり、また、徐々に下降ペースが穏やかになってきている点にも留意しなければならないでしょう。ひとまず1.29ドルでの売りを推奨します。
あと、ドル/円にも簡単に触れておきます。先週は99.70円近くまで上昇したあと反落しました。くりっく365の取り組み状況を見ると(下図)、ドル/円のほか主要通貨の多くが売り越し状態。一般投資家が売りに回ると経験的に一段高になることがよくあるので気になっています。足元の下げがどこで止まるかは正直分かりませんが、ドル/円は買い方針を維持し、売りから入るのは見合わせたほうがよいと思います。
※前回はコミットメンツ・オブ・トレーダーズの発表日を火曜日と書きましたが、正しくは火曜日時点の集計で金曜日発表でした。お詫びして訂正させていただきますm(_ _)m
