2009年2月アーカイブ

前回記事では、『7対3くらいで(ドルを)強気に見ているものの、調整後に趨勢がはっきりした時点で売りか買いかをお伝えする』と書きましたが、調整は月曜のアジア時間まで。その後はスルスルと値を上げ、予想以上の強さでした。ドルは円だけでなくその他の主要通貨やエマージング諸国の通貨に対しても値を上げ、全面高の様相でした。もともとリーマン・ショック以降、ドルが強いという状況は基本的な流れとしてあるわけですが、少し前まで円はそれ以上に強かった。それがここ1ヶ月ほど強さが影をひそめ、とうとう最下位にまで落ちてしまったわけです。危機的状況にある東欧諸国の通貨よりも弱いというのはある意味情けないです。円がここまで弱くなった理由として、経済成長が二桁マイナスになったとか(詳細)、貿易収支が赤字だとか(詳細)、はたまた政治的混迷とか、そういうことが後講釈として言われますが、それを理由にしているといずれ再び円高局面になったときに多分説明がつかなくなると思います。

先週も書きましたが、今の円安は内部要因、具体的には投機筋のドル買い戻しが主導しています。もちろん、上にあげた材料も心理的な影響はあったかもしれませんが、日本側の材料が相場の流れを左右することってまずありません。勝手な想像をすると、ストーリーはこんな感じじゃないでしょうか。『ドル売り円買いのポジションを積み上げていた投機筋は、市場のテーマがデレバレッジからファンダメンタルズに回帰する流れや、米長期金利が上昇基調となるなかで、2月を買い戻しの好機と見ていた。この時期はレパトリによるドル売り円買いが起きると予想されるので、そのフローに決済をぶつけようとした。ところが本邦年金基金の海外投資などに相殺されて思ったほどドル売りが出てこなかったので相場が上昇してしまい、これがさらに売り方の踏みを誘った。』

コミットメンツ・オブ・トレーダーズを検証すると、ドルの売り越しは直近のピークだった2/3(50,518枚)に比べると、2/24時点でほぼ半減(28,635枚)しています。2/24は発表時点ですから集計自体はその前の週です。先週の分は今週の火曜日に発表されますが、もっと減っているはずです。ではそろそろ円安も終了か?というとおそらくそうは問屋が卸しません。現在はドルの上値を試す流れができていますから、調整後は新規のドル買い円売りも加わって再び高値を目指す可能性が高いように思います。上値の目処としては100日MAが通る水準(先週末時点で100.18円)や過去の戻り高値水準(チャートの赤丸)、フィボナッチ・リトレースメント(61.8%)の101.66円など。ただ、だからと言って足元でドル買いをお勧めしているわけではありません。ここまで上がってしまった相場ですから、のこのこ買いに出て梯子をはずされる可能性もあります。ひとまず今週は様子を見たほうが賢明でしょう。むしろ対ドルでユーロやスイスフランを売るストラテジーをお勧めします。その理由や具体策は次回で。

ドル/円日足

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先週のドル/円は週末こそ利食い売りで下げましたが、それまでは堅調でしたね。木曜には終値ベースで94円台を示現しており、これは2ヶ月半ぶりのことです。また、火曜にはダウ平均が大きく下げたにもかかわらず、ドル/円は上昇しました。サブプライム問題が表面化して以降、連動性が強かったドル/円とダウ平均の関係からすると「ん?」という感じ。このところ、東欧の金融セクターに対する懸念から金融市場の緊張感はむしろ高まっており、この点でも円安傾向には違和感があります。なぜ円安なのか。メディアでは日本の政治的混迷を材料視する解説もみかけますが、実際のところあまり関係はないように思えます。おそらく投機筋がポジション整理に動いていることが主因ではないでしょうか。ファンダメンタルズよりは内部要因である需給関係が相場を主導しているということです。

そこで、ドル/円の需給関係について最近の流れを確認しておきましょう。まず、統計として確認できる資本収支。2月9日に財務省が発表した国際収支状況(速報)を見ると、昨年のわが国の証券投資収支は大幅な赤字(資本流出)で、特にリーマン・ショック以降は記録的な赤字となっています。つまり、株や債券などの投資については、海外から入ってきたお金よりも出て行ったお金のほうが遥かに多かったということ。それは、相応するドル買い/円売りが起こったことを意味します。にもかかわらず、逆にドル/円は急落しました。この間、資本収支によるドル買いにぶつかったのは、キャリートレードの巻き戻しと投機筋の売りだったと考えられます。

その結果、投機筋のドル売りポジションはうず高く積まれることになりました。これは、コミットメンツ・オブ・トレーダーズを見ると確認することができます。しかし、このところドル売り円買いの取組みが少し減少してきていることもうかがえます。投機筋のポジションは実需筋と違っていずれは反対売買されます。キャリートレードの巻き戻しは大方一巡したとの見方が優勢ですが、そうだとすると、投機筋がポジションの買い戻しに動けば需給関係がドル買い円売りに傾きます。足元はそういう状況ではないでしょうか。

投機筋が買い戻しに動いた背景ですが、極端な弱気心理が少し冷静さを取り戻してきたことが大きいと思います。これは、TEDスプレッドVIX指数に表れています。また、ドル/円が年初来安値をつけた昨年12月にはゼロ水準まで低下していたブレーク・イーブン・インフレ率(期待インフレ率)が1%まで回復してきたことにも見てとれます。当時の市場はデフレ懸念に怯えていましたが、その恐怖感が少し和らいできているのです。

では、今後も買い戻しが続くのでしょうか。その判断には1月につけた戻り高値の水準をクリアに抜けていけるかが重要なポイントになります。もしクリアに抜ければ、テクニカル要因から買い戻しに拍車がかかる可能性が高いと思います。一方、例年2月中旬から3月はドル安円高になるというアノマリーがあるので、その点は注意する必要があります。各銀行が法人顧客向けに出しているレポートも強弱感が分かれていますが、筆者は7対3くらいで強気に見ています。ただし、いずれにしても目先は短期的な調整が予想されますので、問題はその後です。売りか買いかはもう少し趨勢が見えてきた時点でお伝えしたいと思います。

●ドル/円日足(終値) + 50MA、100MA●
ドル/円日足

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前回は、ノルウェークローネに買い出動するタイミングとして、24日移動平均の水準をお勧めしました。結果として17日(火)に13.13前後の水準でポジションが建ったと思います(この日のオファー終値ベース24日移動平均は13.10)。その後は小反発したので少し含み益を抱えている状態ですが、このストラテジーは中長期的な保有を目的としているので短期的な利食いは想定していません。基本的に24日移動平均が上昇基調を維持している限りは建玉保持。ただし、欧米で銀行セクターの緊張度が高まった場合などは要注意ですので、そのときは再度取り上げたいと思います。

クローネ/円日足

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前回はノルウェーのファンダメンタルズをとりあげました。経常収支、財政、成長率などの点が相対的に良好だということがご確認いただけたと思います。外部環境が改善してくれば、ノルウェー・クローネ(以下、クローネ)には中長期的な投資妙味があると考えています。ではその外部環境はこれからどうなるのか。今回はその点を確認して、買い出動のタイミングを探ってみたいと思います。

まず最大の要因は、言うまでもなくサブプライム問題に端を発した世界的なリスク回避志向です。世界中の金融機関や機関投資家が資産をドルに替えたため、あらゆる通貨が対ドルで売られました。ただし円を除いて。ご承知のように円だけはドルに対して上昇したため、クローネ/円を含むクロス円は暴落に見舞われたわけです。

円が買われたのは、キャリートレードの巻き戻しが主因と考えられています。サブプライム問題が表面化する以前、世界中で不動産バブルが起こっていました。そのとき、東欧やスペインでは低金利の円建て住宅ローンが人気を集めていたそうです。日本では外貨建てのローンを組むなど考えられませんが、金利の高い国ではそんな現象が起こっていたわけです。これもローンを提供した金融機関からすれば一種のキャリートレード。こうしたものも含め、円を調達通貨としたキャリートレードは世界中に拡散し巨額になっていました。それがリスク回避の流れのなかで逆回転し、円は最強の通貨となったわけです。

加えて商品相場バブルの破裂。ノルウェーは原油・天然ガスの主要な輸出国ですので、これらの価格が急落したことは、クローネの下落に拍車をかけました。

主な外部環境はだいたいこんなところです。逆に言うと、これらが解消すればクローネの値は戻る可能性が出てくるわけです。そこが、経常収支や財政の悪い国、金融機関が痛んでいる国、資源を持たない国とノルウェーが大きく異なる点です。

結論から言うと、外部環境はかなり改善してきています。すでにリーマン・ショック以後のパニック的なリスク回避志向は収まりました。下図はTEDスプレッドの日足ですが、かなり平常時の状態に戻ってきています(と言ってもサブプライム問題の表面化以前よりは高いですけど)。

TEDスプレッド

次にキャリートレードの巻き戻し。これについては統計があるわけではないので誰にも正確なところは分かりませんが、市場ではだいたいかたづいたと推定されています。ですので、キャリートレードの巻き戻しに伴う急激な需給バランスの変化は、もうあまり気にしなくてよさそうに思います。

最後に原油価格について。下記のチャートは北海ブレントオイル先物の日足です。一時は40ドルを割りましたが、最近は45ドル前後で横這い基調となっていますね。目先の動きは何とも言えませんが、有限な資源である原油の価格は長期的には上昇傾向を辿ると考えるのが自然です。世界の景気が持ち直す兆しが出てくれば、価格は回復基調を辿るでしょう。

北海ブレントオイル先物日足

こうして見ると、外部環境は最悪期を脱したかのように見えます。もちろん、米国の自動車大手再建や景気動向などの懸念材料は残っていて、視界良好というわけにはいきません。さらに気になる点があります。欧州のファンダメンタルズが一段と悪化するのではないかとの見方があることです。英国やスイスは金融立国で、金融機関の損傷が国家に及ぼす影響は米国の比ではありません。また、ユーロ圏はデフォルトが懸念される国を抱えています。実際、城内各国の国債利回りには大きな差が生じています。もし欧州通貨が再び売られるような事態になれば、クローネも影響を受けないわけにはいきません。その点はちょっと気掛かりです。

まぁ、そうは言っても相場には常に不確定要素がありますから、材料を天秤にかけて判断するしかありません。最後にチャートを確認しておきましょう。下図はクローネ/円の日足です。移動平均線は12日、24日、36日です(これらの数字に特に意味はありません。筆者は1時間足をよく使うので、日足や週足でもそのまま使っているだけです)。3本の移動平均線が全て上向いてきていますね。また、下値と上値がきり上がってきていることも見て取れます。これはトレンドの転換を示すサインです。外部環境の改善とこうした値動きから、当面は上値を試す展開を予想します。中長期的には16円台まで戻す可能性もあるでしょう。ただし、景気不安などでダウ平均が大きく下げたり欧州で金融不安が深刻化すれば、2番底をつけにいく展開もありえることは念頭に留めておいてください。具体的に買い出動するタイミングですが、24日移動平均線の水準あたりまで押したところをお勧めします。

クローネ/円日足

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中長期的な投資対象としてノルウェークローネ(以下、クロ-ネ)に注目しています。クローネはリーマン・ショック以来、他の通貨同様に対円、対ドルで急落しましたが、今年に入って底堅い展開となっています。1月に大きく下げた東欧の通貨に比べるとその差は歴然です。

●クローネ/円(赤)とポーランドズロチ/円(グレー)の日足●
クローネ/円(赤)とポーランドズロチ/円(グレー)

クローネが下げ止ってきたのは、極端なリスク回避志向が後退するに連れて、良好なノルウェーのファンダメンタルズが見直されているからだと考えられます。同国の強みは何といっても経常収支、財政ともに黒字で安定していること。さらには、巨額資金を運営する政府年金基金(GPF)を有していることが信頼性を高めています。案外に知られていないことですが、北海油田を有するノルウェーは原油・天然ガスでは世界有数の輸出国。それによって同国は非常に裕福であり、国民一人当たりのGDPは世界第2位なんです(出所:IMF 2007年)。ちなみに1位はルクセンブルグ、日本は22位です。

ノルウェーに関する詳しい情報は以下をご参照ください(全て日本語サイトです)。

サブプライム問題に端を発した世界的なマネーフローの収縮は、最悪期こそ脱した(かもしれない)ものの、活況を取り戻すのは何年も先の話しでしょう。国境を越えるお金の流れが悪いと、ノルウェーのような経常黒字国の通貨は強くなります。また、欧米の主要国が景気対策のために財政が悪化しているのに対し、ノルウェーの経済基盤は相対的に健全です。さらには、原油輸出で得た利益をもとに創設した年金基金を世界の市場で運営していて、いわゆるソブリン・ウエルス・ファンドとしてはアラブ首長国連邦に次ぐ規模を誇っているのです。経済成長も悪くありません。2009年は減速こそしますが1.1%とプラスを維持する見込み。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均である0.3%を上回っています。マイナス成長が予想される米国(▲0.9%)、欧州連合(▲0.5%)、日本(▲0.1%)に比べれば雲泥の差です。

以上のように、ノルウェーのファンダメンタルズは相対的に良好で、現在のクローネには割安感があります。次回ではクローネに買い出動するタイミングを探っていきたいと思います。

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