先週は利下げラッシュでしたね。特にBOE(英中銀)とRBA(豪中銀)は思いきった引き下げを行いましたが、市場はそれを無視したかのようなふるまい。市場参加者の関心が金利に向いていないことがよく分かります。キャリートレード全盛の頃は、金利こそ為替相場を動かす最大のテーマでしたが、今はそれどころではないという感じでしょうか。
ただ、中長期的に見て金利はやはり重要なファンダメンタルズの一つですから、今後の為替相場を予想するうえで、利下げの動向を無視することはできません。今回の利下げで各国の政策金利は、ユーロ=3.25%、ポンド=3.0%、豪ドル=5.25%になりました(主要国の政策金利)。しかし、これで打ち止めというわけにはいきません。最終的にユーロ=1.5%(現行との差は1.75%)、ポンド=2.0%(同1.0%)、豪ドル=4.0%(同1.25%)程度まで引き下げられる可能性があります。一方、円も0.3%から0.1%(同0.2%)へ、ドルも1.0%から0.75%(同0.25%)に引き下げられると見込まれますが、前のグループに比べたら下げ幅は大したことはありません。金融市場の混乱の中で売りに売られたこれらの通貨は、金利面でもまだ売られる要素を抱えているということです。
ただし、バリュエーションという観点からすると、少し様子がちがってきます。バリュエーションというのは、相対的に割高か割安かを判断する手法のことで、通貨の場合は実質実効為替相場や購買力平価といった指標が用いられます。サブプライム問題が表面化する以前、これらの指標をベースにするとドルと円は割安な状態が長く続きました。逆に、ユーロ、資源国通貨、新興国通貨はかなり割高になっていました。それがここ数ヶ月で修正され、ドルも円も割安な水準ではなくなってきています。ただ、世界的な景気後退、デレバレッジ志向の台頭で、さらに割高なゾーンへ入っていく可能性もありますが。一方、先にあげた通貨の中では、豪ドルの割高感はかなり解消されています。しかし、ユーロはまだ割高な水準にあり、中長期的に見てさらに修正が進むことも十分考えられます。以上のように、金利動向やバリュエーションという点から見ると、ユーロにはまだ下げ余地があると見るのが自然です。また、先週も少し触れましたが、欧州の銀行が抱える新興国向け融資が、ユーロにとっては心配の種です。BIS(国際決済銀行)の統計によれば、6月末時点で欧州(EU15カ国から英国を除いた14カ国)から新興国への与信残高は対GDP比で21%にもなります。米国の4%、日本の5%に比べるとその大きさが分かりますよね。
さて、ここまでは少し先まで見据えた場合の話しですが、当面のストラテジーもこれを踏まえて考えなくてはなりません。今月は急激な下げ足もさすがに一服商状となっていますが、大きな流れとしての円高、ドル高はまだ終息したとは言えません。特にユーロは上記の理由から注目しておきたい通貨です。下のチャートはユーロ/ドルの4時間足ですが、三角もちあいを形成しつつありますね(三角もちあいについては「フォーメーション分析」をご参照ください)。当面はこのレンジ中で推移する可能性が高いと思われ、上値抵抗線に達したら戻り売り、下放れたら追随売りで対処することをお勧めします。たた、ダウ平均が強い動きを示すようだと、上値抵抗線を抜ける可能性もあります。その場合は10月30日の戻り高値1.329ドル水準で追加売りとなりますので、レバレッジはいつものように3倍程度からスタートしてください。なお、ユーロ/円も基本的な仕掛けどころは同じですが、こちらの方が値動きが大きい点に注意が必要です。
