FXとオプションバリア

   オプションバリアはオプション取引の用語で、特定の条件が発動される価格のことをいいます。例えば、ドル円のオプション取引で権利行使価格を100円としたコールがあり、「95円をつけた瞬間に取引は解消される」という特殊な条件が付いていたとします。いわゆるノックアウト条項ですが、この95円のことをバリアと言います。

   ベーシックなオプションであるバニラオプションにはこうした条件はつきませんが、今では様々な派生的なオプション(エキゾチックオプション)が開発されており、バリアが設定されているものも少なくありません。近年世界的に個人投資家に浸透し始めているバイナリーオプションにもバリアの設定があります。

   上の例では、95円をつけると権利が消滅するので、買い方には不利な条件です。しかし、そのぶんオプションの価格(プレミアム)が安くなるというメリットがあります。メリットとデメリットを天秤にかけ、まさか95円を付けることはないと考えれば条件付きであっても買うわけです。

オプションバリアの攻防

   ところが予想に反して為替相場が下落し、95円手前まで下がったとします。すると、買い方の中からは95円を付けないようにドルを買い支えようとする動きがでてきます。このとき、売り方と買い方の間でバリアをめぐる攻防が起こります。買い方が勝てば権利は消滅せずに済み、また売り方の買い戻しで価格は反発します。一方、売り方が勝てば買い方の損切りを誘発して価格は一段安となります。

オプションバリア

   オプションバリアは大抵きりのよい価格に設定されますので、XX.00円とかXX.50円といった節目の価格の前後ではこうした攻防が起こりやすいといえます。為替市場では、バリアをめぐる攻防は日常茶飯事的に起こっていますし、ルーマもよく流れます。残念ながらFXを行う個人投資家が、直接そうした情報を入手することは困難ですが、節目を抜けたときに値動きが加速することがあるという点は、留意しておく必要があります。

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