トレンドフォローのノウハウ

トレンドフォローとは

   トレンドフォローは相場のトレンドに乗ることを目的とした手法で、一般的には「順張り」と訳されます。しかし同じ順張り系の手法でも、大きく分けて二つのスタイルがあります。一つは比較的こまめに利食っていくパターン。前のページで述べた「大勢順張り・小勢逆張り」はこれに該当し、当サイトがFX取引で推奨する手法です。もうひ一つは、トレンドを追いながらできるだけて利益を伸ばすことを目標にするパターン。ここでは後者の手法を特に「トレンドフォロー」と呼んで、前者とは区別することにします。

トレンドフォローの特徴

   巷の書店に行くと、FX関係の書籍が投資関係の棚の中で結構なスペースを占めていますね。入門書からノウハウ本まで様々ですが、「1勝9敗でも儲かる方法」みたいなタイトルを見かけたことがあります。トレンドフォローの売買手法を扱っていることは想像に難くありません。トレンドフォローの真髄は、大きなトレンドが生じたときに最後まで乗りきることにあります。波乗りのように小さな波は無視して、たまにくるビッグウェーブに乗るのです。ただ、波乗りなら大きな波かどうかはあらかじめ分かりますが、相場では結果としてしか分かりません。そのため、トレンドフォロワー達はとりあえず乗ってみて、トレンドが伸びなければ降りるということを繰り返します。

   彼らは大相場になった時に一気に稼ぐので、勝率自体はよくありません。筆者はマネッジド・フューチャーズと呼ばれるファンド(世界的にかなり著名なもの)の組成・運用に末席でかかわったことがあります。そのファンドはトレンドフォロー式で、勝率は3割か4割程度でした。それでもおおむね年率十数パーセントの運用益を上げていたと記憶しています。ただし、運用成績は大きなトレンドが出るかどうかにかかっていて、それは年によっても違います。何か月もトレンドが出ないときがあって、その時は運用成績も低迷していました。

トレンドフォローとドローダウン

   一般的に、トレンドフォロワーにとって勝率はあまり意味を持ちません。大切なことはトレンドに乗れた時にいかに利益を伸ばすかです。最後まで波に乗り切ることです。なので、トレンドフォロー式の売買手法では、エグジットルールが重要になります。基本的には、あらかじめ許容可能なドローダウンの率を決めておいて、それに抵触しなければ建玉は保持するというやり方をします。

   例えば、買い持ちしている場合、直近の最高値から○%下げない限りは決済しないという方法です。これだと、多少の戻しがあっても相場が上昇基調を続けている限りはどんどん利益を伸ばしていくことができます。一方、トレンドが短期で終わってしまうと、取れた利益を削ってしまったり、へたをすると損切りになる可能性もあります。ですので、大きなトレンドが出るかどうかが生命線なのです。ボックス圏で推移するようなもちあい相場は最悪で、勝率が悪いのはもちろん、損益もマイナスになります。

トレンドフォローの実践

   一般投資家がトレンドフォロー式の売買を実践するために便利なツールが「トレーリングストップ注文」です。これはまさにドロ−ダウン・ルールを実践するための注文方法で、常に相場をウォッチしていられない方にはお勧めです。簡単に言うと、相場が上昇するにしたがってストップ注文(逆指値注文)の執行水準が自動的に切り上がっていくというものです。もちろん下降相場でも同様に利用できます。ドローダウンの率や幅は自分で設定できます。利用する際のコツとしては、はじめからトレーリングストップを仕掛けると建玉してすぐに損切りということもあるので、ある程度トレンドに乗ってから注文するとよいでしょう。

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